14期生2学年 第4回講座「旧成田領に残る歴史遺産」

2024年6月4日 2024年14期生2学年の第1回視察ツアーとして、「旧成田領に残る歴史遺産」が開講されました。

当日、皆さんの集まりも早く定刻の10分前には最初の視察地のある群馬県太田市に向けて出発しました。

講師は、ものつくり大学 建築学科 文化財建造物修復学研究室 横山晋一教授です。

横山教授は、歴史的建造物の調査研究を行い、保存再生に貢献されています。

・1番目の見学場所は、「世良田東照宮」です。

重要文化財の東照宮拝殿,唐門及び本殿を見学。写真は本殿前で説明される横山教授です。

本殿は、修復が終了しており艶やかに彩色修復されていました。二代将軍徳川秀忠造営の東照宮は、三代将軍徳川家光の日光東照宮造替に伴い、徳川家発祥の地となる「世良田」に日光東照宮から移築されたものです。世良田の地は、忍藩領であったことから、阿部忠秋の大きな石灯籠も奉納されていました。拝殿と唐門は現在修復工事中で、シートで覆われ隙間から拝観しました。説明の中で、壁画装飾と装飾彫刻の文化財修復の制約等興味深く拝聴しました。また、この修復工事に横山研の卒業生が携わっていることが偶然判明しました。

・2番目の見学場所は、同市内にある「旧中島家住宅」です。

重要文化財の主屋、土蔵他について交流センター職員の説明を受けました。本邸宅は、中島飛行機(株)の創立者・中島知久平が両親のために生家近くに建造した敷地面積10,000㎡、建坪300坪、建設費100万円(当時)の大規模な近代和風建築です。1930年に上棟されています。2016年に国重要文化財に指定されています。

写真は主屋の玄関車寄部分です。重厚な造りで天井は見事でした。また石段は、1段1個の切り出し大理石です。

 

屋内では、昭和初期当時の文化水準では考えられないような電気ストーブそれも加湿器付き、網戸、水洗トイレ、シャワーが設備されていました。また、ステンドグラスや寄木造りのフローリング、シャンデリア、ガラスの品質等90年経過しているにもかかわらず素晴らしいものでした。

主屋南側には3,000㎡の前庭がありました。

 

・3番目の見学場所は、利根川を渡り返して埼玉県妻沼にある「歓喜院聖天堂」です。

貴惣門は重要文化財、聖天堂は2012年県内5番目の国宝に指定されています。聖天さまは、斎藤別当実盛が1179年に祖先伝来のご本尊を祀ったのを創まりとします。

ボランテイアさんの説明を受けました。奥殿は、八棟造りで東西南北すべてに向いているとのこと、各壁面の彫刻と彩色が素晴らしく、物語性もあり楽しく拝観・拝聴できました。

この後、ようやく昼食です。聖天稲荷寿司、500円は嬉しい限りです。東屋で、旧グループメンバー(新も同じだけど)と、楽しいランチタイムでした。お腹もきつくなって次の見学地に移動です。

 

・4番目の見学場所は、「常光院」 本堂は熊谷市指定文化財です。

藤原鎌足16代目の子孫となる藤原常光の孫、藤原家長が1192年比叡山天台名僧であった金海法印を迎えて開基しました。現在の本堂は、江戸時代中期の建立、150坪の書院風大規模木造で、屋根は茅葺となります。平地林は、平林寺よりも規模が大きいとのこと。

茅葺の葺き替えの計画があり、材料の調達、職人の手配等苦慮しているとの説明でした。茅葺文化がワールドワイドで職人もワールドワイドになっているのは興味深かった。山門においては、横山研の学生が修復調査をしていました。

・最後(第5番目)の見学場所は、行田に帰ってきて、「旧忍町信用組合店舗」です。

この建物は、村上義之助ら青年有志らによって行田で足袋製造を担う事業者を金融支援するため

に設立した金融機関本店舗で1922年竣工した洋館です。2016年行田市に寄贈後、水城公園東側園地に復原整備を伴う移築を行った。この種の建築として、現存する数少ない大正期洋館。    移築のための学術調査研究と設計監理は、横山研が担当した。工期の厳しい条件のもと、当事者として大変苦労された生の声を聴くことができました。外装の3緑色の復元、菱葺の天然スレートの入手経路の確保、漏水対策の形状検討など。また、復元と観光資源との葛藤、エレベータ設置や避難路の確保等、裏話もなかなか面白かったです。

 

2Fには、カフェテリアもあるので、ご利用ください。

                         

今日は、知識欲&食欲?を満たす良い視察ツアーでした。

横山研の師弟愛にもホッコリしました。

事務局さま、雨にも合わずスケジュール管理、お疲れ様でした。

 

横山講師著 「旧成田領に残る歴史遺産」 埼玉新聞社 を見つけました。読もうと思います。

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