2学年 10期生授業10月10日「古墳時代の舟運と埼玉古墳」

 

1.日時   令和元年10月10日 午前10時~12時

2.場所   ものつくり大学C3010

3.テーマ 「古墳時代の舟運と埼玉古墳群」

~埴輪から見た古墳時代における荒川の海部ネットワークの具体像~

4.講師   若松良一先生

・若松先生

 

・戸田市南原7号墳出土人物埴輪

頭にかぶり物をつけ、矢を入れる武具を担いでいる。

胸の赤い絵は8人のこぎ手がいる「八丁櫓」という中型舟を

横から見た物が描かれている大変珍しい埴輪である。

・南原1号墳出土人物埴輪

南原古墳の埴輪の特徴は、垂れ目で口が小さくあごが大きい。

・鴻巣市生出塚20号埴輪窯出土人物埴輪

生出塚の窯は40ほど見つかっており、日本一大規模な窯で

埴輪は川崎・横須賀・千葉方面まで運ばれている。

・生出塚20号埴輪窯出土馬形埴輪

生出塚の馬形埴輪の特徴はヒップアップしていて足が長い。

足の半分は埋めるために長く作られている。

・戸田市南原古墳群の位置

古墳時代、重く壊れやすい物を大量に運ぶための運搬手段は船であった。

そのため、河川付近に古墳群が作られている。

稲荷山古墳 緑泥石片岩(秩父)

将軍山古墳 房州石(千葉県)

鉄砲山古墳 閃石安山岩(群馬県榛名山の溶岩石)

産土うぶすな(死者が生まれた場所の石や砂)を使って

棺を作るために他県から石材を運んでいた。

埼玉古墳に葬られている主達は武蔵の国を越え、千葉方面とも

交流があり物資の運搬を行っていた。

行きに秩父の緑泥石片岩を積み、帰りに千葉の房州石を持ち帰る

等、効率的な運搬を行っていた。

・松阪氏市宝塚1号噴出土 船形埴輪

1メートル50センチ位の大きさ

亡くなった人を葬る葬儀用の特殊な船で国宝になっている。

・長崎県地方の精霊船

このような精霊船と同じ意味合い

埴輪の船から人間が海を渡るために使用する船を

想像してはいけない。

・天理市東殿塚古墳の円筒埴輪に描かれた船画

死者に関わる船で吹き流しやパラソル等が描かれている。

パラソルは身分の高い人の魂を表し、鶏は人の再生に関わる

とされている。

・石棺運搬実験に使用された古代船「海王」実測図

大木を半分に切り中をえぐって作るので幅が狭いため

荷物が積めない。

休む場所や指揮官の場所もないので長距離は難しい。

水路を運搬手段として使用していたこの時代には

海部集団がおり、有名な船団の長に宗像氏がいる。

胸に龍の入れ墨をお守りとして入れている。

尾形は龍のしっぽを入れ墨している。

*埼玉古墳に葬られている主達は1500年以上前から埴輪や石材等の

運搬手段として荒川・利根川両方の河川と深く関わっており、千葉方面とも

交流があり、海・川を行き来する海部集団が付加価値の高い物を船で運び

商売をしていたことを学びました。

また、埼玉古墳については主達の名前・履歴・事件等がほとんど日本書紀に出てこない

ため、政治等を明らかにしていくには考古学でしか方法がないことや、正しい

解釈をするには日本書紀・古事記・民俗学の研究も必要だと知り、考古学で

歴史をひもといて行く大変さと、壮大なロマンを感じ、とても興味深く楽しい

授業でした。若松先生ありがとうございました。

 

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