15期2年生 第1回視察ツアー 「旧成田領に残る歴史遺産」
2025年6月10日(火)、生憎の雨がそぼ降る中、2025年15期生2学年の第1回視察ツアー「旧成田領に残る歴史遺産」が開講されました。
運動公園に停車中の大堰観光バス(運転:出井さん)を目標に、集合時間前に参加者最初の視察地のある群馬県太田市に向けて出発しました。
講師は、ものつくり大学 建築学科 文化財建造物修復学研究室 横山晋一教授です。
横山教授は、歴史的建造物の調査研究、保存再生に貢献されています。
本日のツアーは、横山教授の関わられた建築物を巡る旅でもあります。
・1番目の見学場所は、「世良田東照宮」です。
重要文化財の東照宮拝殿,唐門及び本殿を見学。写真左は本殿前で説明される横山教授です。
本殿は、修復が終了しており艶やかに彩色修復されていました。二代将軍徳川秀忠造営の東照宮は、三代将軍徳川家光の日光東照宮造替に伴い、徳川家発祥の地となる「世良田」に日光東照宮から移築されたものです。拝殿と唐門は現在修復工事中で、シートで覆われ隙間からの拝観となりました。また、宮司のご説明も頂きました。
・2番目の見学場所は、「旧中島家住宅」です。
雨が止み、取り急ぎ、3000㎡大庭園からの見学となりました。とんでもなく大きなヒマラヤ杉に一同驚愕です。その後、重要文化財の主屋、土蔵他について交流センター職員の説明を受けました。本邸宅は、中島飛行機(株)の創立者・中島知久平が両親のために生家近くに建造した敷地面積10,000㎡、建坪300坪、建設費100万円(当時)の大規模な近代和風建築です。1930年に上棟されています。2016年に国重要文化財に指定されています。写真は主屋の玄関車寄部分です。石段は、1段1枚の切り出し大理石とのことです。
屋内へ入ると、素晴らしい調度品ですが、床が全て寄木細工とのことでした。きれいなものです。また、中庭は地震などで倒れたと思われる石柱がそのままで、クレーを入れられず、そのまま放置せざるを得ない状態とのことでした。それでも、素晴らしい中庭です。
・3番目の見学場所は、妻沼にある「歓喜院聖天堂」です。
雨が止み、聖天堂のガイドツアーを先行させました。その前に、重要文化財の貴惣門で集合写真を「チーズフォンデュ」で撮りました。
さて、聖天堂は2012年県内5番目の国宝に指定されました。本殿の国宝たる由縁を壁面の彫刻についての説明を受け始めると、雨がパラツキはじめました。写真は雨が降る前のものです。また、回廊屋根をあめ除けにして、ボランティアガイドの流暢な説明に感心しました。
この後、昼食はバスの中となりました。聖天稲荷寿司はお休みでした。そして、境内散歩も難しく、30分前倒しでツアーを続けることになりました。
・4番目の見学場所は、熊谷市指定文化財「常光院」です。
現在の本堂は、江戸時代中期の建立、150坪の書院風大規模木造で、屋根は茅葺となります。現在、この茅葺屋根の改修工事に入ったところで、今は前面のみ葺き替えが終わったところです。これから、左右、背面と葺き替えを終えるまで、2年は要するとの説明でした。
そして、また、30年後には葺き替えをしなければなりません。今のところは、横山教授が声掛けて熟達した職人を集めることができましたが、30年後にはどうなるか、心配なところです。
常光院様からは麦茶のペットボトルサービスをいただきました。
・最後(第5番目)の見学場所は、「旧忍町信用組合店舗」です。
この建物は、村上義之助ら青年有志らによって行田で足袋製造を担う事業者を金融支援するために設立した金融機関本店舗で1922年竣工した洋館です。2016年行田市に寄贈後、水城公園東側園地に復原整備を伴う移築を行った。
この種の建築として、現存する数少ない大正期洋館。
移築のための学術調査研究と設計監理は、横山研が担当されました。外装の3緑色の復元、菱葺の天然スレートの入手経路の確保、漏水対策の形状検討など大変ご苦労されたとのことです。また、復元と観光資源との葛藤、エレベータ設置や避難路の確保等、裏話など面白いお話を伺いました。
2Fには、カフェテリアもあるので、ご利用ください。
今日は、雨の中の視察ツアーでしたが、今村理事長にもご参加いただき、横山教授の流暢な語り口に魅了されている内に、静かで、落ち着いた第1回視察ツアーを終えることができました。
また、横山研の研究生にもご参加いただき、なごやかなバス教室でもありました。
皆さん、お疲れ様でした。